2月13日

2月13日になる寸前、
ああ、私生きてる、と思って。

生きて19歳になる、と思って。少し感動して。


0時になった瞬間、最初に来たメール、
わざと立ち上げたヤフーメッセンジャー。
連続で、4通。
ぜんぶぜんぶあの人から。

あの人は人を喜ばせる天才だと思ってたけど、
喜ばせようとすると言葉が浮かんでこないって、言ったから、驚いた。


友達も、何人か、おめでとうメールくれてさ。
嬉しくて、ありがとうでいっぱい。


あの人からの4通、長い長い文章が綴ってあった。
私の名前を何度も書いてあった。
嬉しくて嬉しくて、
1通目の意外性に驚いて。2通目の軽い調子のおめでとうに、嬉しかったけど少し笑って、
3通目の言葉に、泣いて。4通目の一番長い文章に、そのことばたちを抱きしめたくなった。
そして、1通目から読み返して、
全部に泣いた。どうしようもなく嬉しかった。
これは私を想って書いてくれた長い長い文章だ。
出会ってから迎える5回目の私の誕生日に、
いままで、私がこぼした言葉の総て、露わにした感情の総て、笑い、涙、怒り、―――
私をこんなに識っていてくれる。
私はなかなか開かない人間で、それはそれは、いろんなものを隠して、それはそれは汚いものをひた隠しにして、自分にもたくさん嘘をついて、だからこそ何を信じることも、怖くて、

ねえ、ただありがとう。

「私のだ」

そう認識した瞬間に、止まったはずの涙がまたぼろぼろとこぼれた。
たくさんの人にお祝いしてもらいなさい、ってあなたの言葉に、
どうやったっていつも、私は子ども扱いされるんだなあとも思ったけれど、
諦め、ではないけれど、
とにかく、うんということしかできなかった。
何が何だかわからない。

嬉しいのと、嬉しいのと、驚いたのと、
嬉しいのと。

単純って笑われるかもしれないけど、生きて19歳になって、よかったよ。
19歳になる前に、しんじゃったらどうしようかなって思ってたよ。
19歳になる前に、

蘭々、19歳になりました。
ありがとうございます。たくさんの人にありがとう。
ねえ、今日くらいよく覚えていようよ　今ちゃんと認識できるのが、彼女だけだったとしても、
彼女がこんなに私を想って文字を綴ってくれていたこと
私、こんなに嬉しいんだから、
直ぐに苦しさにまぎれて忘れてしまいそうだけど
ねえ今日だけもう一度手首にあなたの名前書いてみるよ

すぐ消えちゃうけど、油性マジックで書いてみるよ。
ボコボコだけど。

ねえ私はたくさん愛されてるよ　私はまだ愛されてること全然受け入れられないけど
親も友達もあの人にも
愛されてることまだちゃんと受け入れられないけど
拒絶すらしてしまうけど


とにかく今日は
彼女の名前を手首にかく。
メールを読み返しながら眠るんだ。
明日はきっと学校にいこう。