名前

否定、した。

肯定しなかった。

そうだ、私は否定されようと、肯定されようと、揺るがなかった。
諦めていた。
なおそうなんて、別に、否、なおるなんて、べつにおもってなくて。

否定された。
揺るがなかった。
私は、頑なだった。

だけど、否定に、頑なに、いなかった。
そんなの無理だよって言わずとも、そう思いながら笑うことをしなかった。

手首に名前を。
手首に名前を。
そんな、安っぽいこと、なんて、
笑うことも、なぜか、できずに。

それでも、いいか、なんて。

手首に名前を。
大事な大事な名前を。
きっと、無視して、
傷つけることなんてできない。





なんてやすっぽいんだろう
なんてたやすいんだろう
でもそのたやすいことを
笑って頑なに拒むだろう私を
拒ませなかったそれは、事実で

私が満更でもないのも、本当で

ああ、きっと、今夜の私は救われた。